空間、サウンド、世界。
今回で第6回目を迎える空間演出、建築、メディアの討論会、Raumweltenが、ドイツのルートヴィヒスブルグ開催されました。Raumweltenは、多次元パフォーマンスアートを愛するすべての人々のためのイベントであり、インスピレーションの源でもあります。2017年11月16日~25日の期間、クリエイティブな業界人、そして各分野のデシジョンメーカー、約7000名がこの会場に集結しました。
d&bは、社会で音響が演ずる役割とその方向性を示すウムヴェルテンのヴィジョンに共感し、初回以来6年連続でスポンサーとして、このイベントに参加しています。毎年このイベントでは興味深いケーススタディだけでなく、国際的なスピーカーを迎えたハイレベルの講演やワークショップを楽しむことができます。
ラウムヴェルテン 2017でスピーカーとしてマイクを握った人物の一人は、ポツダム映画テレビアカデミーの芸術監督ウルリッヒ・ヴェーゲナス教授でした。「サウンドは建築においてもっと重要な役割を担うべきだと考えます。」教授は、このイベントの開会式でこう述べました。「製品の多様性、デジタル化、顧客のニーズに応えるカスタマイズ、などといったテーマを考えると、今日の建築空間はこれまでよりはるかに高い要求に応える必要があるでしょう。そしてこれらをより小さい空間で、小さい予算で賄わなければなりません。」ラウムヴェルテンの芸術的なフォーカスや議論の対象として、デジタル化、未来の動向、流通する製品が提示する新しい魅力的な可能性、そして創造的で普遍的なコンセプトの中でのそれらの融合という野心的な目標にスポットライトが当てられました。
しかし、ではどうやってアーティストの視点からこのような流れを観客に伝えることができるのでしょうか?芸術家はどうやってこれらの新しいデザインのオプションを体験し、それらをパフォーマンスに反映させることができるのでしょうか。これはクルト・ダールケ氏による講演、「建築におけるオーディオ設計」のテーマでした。電子音楽のパイオニアであるダールケ氏は、ノイエ・ドイチェ・ヴェレ時代にバンド、フェールファーベン で人気を博した人物です。しかし、ダールケ氏はまた、d&bとのコラボレーションによるd&bシステムを使ったクリエイティブな音響システムの構築でもその名を馳せました。
ダールケ氏の最新プロジェクトには”Like Birds on a Wire(電線の上の鳥のように)”というタイトルが付けられています。デュッセルドルフ中心のある地下鉄の駅に入っていく長さ250mのエスカレーターを使ったこの音響設備により、通行する人々は、空間にちりばめられた鳥のさえずり音に包み込まれます。通行人は鳥の群れがまるで連れそうかのように現れ、突然頭上を飛んでいくような錯覚に陥ります。ただの普通のエスカレーターが突然、感性を刺激する体験、あるいは一つのアドベンチャーに変貌します。この体験の背後に存在するテクノロジーとは?ダールケ氏によりプログラムされたシンセサイザが24時間、鳥の声を再生します。そして、同じ鳥の歌がリピートされることは今後何年もの間、一度として起こらないアルゴリズムを提供しています。そのサウンドは48台のスピーカーによって奏でられたのです。
クルト・ダールケ氏のようなオーディオのパイオニアがこれのようなプロジェクトを切り拓き、空間的なサウンド効果の可能性を示唆してきたのです。新しい感性体験。このコンセプトの目標は、微妙な違いを表現できることを証明し、全く新しいパフォーマンス形式のために会場の柔軟性を強化すること、また観客に新しいタイプの体験やアーティスト達にインスピレーション源をクリエイトすることです。簡単に言えばそれは、コンサート、イベント、その他のサウンドアプリケーションで、芸術へのアイデアやビジョンをクリエイティブに取り入れていく新しい可能性です。
新しい感性体験のもう一つの例はd&bサウンドスケープです(www.dbsoundscape.com)。この技術はDS100 シグナルエンジンをそのベースにしています。ユーザーはまるでライトや舞台デザインをするかのように、クリエイティブにサウンドをプロデュースすることができます。「現代のサウンドリインフォースメントとリスニング体験は物理学が定義するものではなくなりました。無限の想像力がクリエイトできるものへと変わったんです」。d&bの製品マネージャー、ゲオルグ・シュトゥマーがRaumwelten 2017で開かれた新しいd&bサウンドスケープのプレゼンテーションで語りました。
画像:Raumwelten、ライナー・フィステラー氏