d&b Soundscapeがワールドeスポーツチャンピオンシップでイマーシブな体験をファンに提供。
d&b Soundscapeは、シンガポール・インドア・スタジアムで開催された2022年DOTA 2 (Defence of the Ancients 2) ライブ世界選手権で、より直感的、イマーシブな体験によって観衆を興奮させました。
現在では11回目を数え、「The International」と称される毎年恒例のeスポーツ・ワールドチャンピオンシップ・トーナメントは、ゲームの開発者であるValve社によって主催され、eスポーツ界最大のイベントの1つとされています。サウンドデザイナーであり、ポストプロダクションおよびライブイベントのエージェンシーであるAural Fixation社のオーナー、ジェイソン・ワゴナー氏は2018年以来、同トーナメントのライブオーディオ・サウンドデザイナー兼部門責任者を務めており、d&bは継続的にオーディオメーカーとして選ばれてきました。
d&bのシステムは主にアリーナでのゲームサウンド、アナウンサーの解説、ビデオ動画再生に重点を置いて使用され、必要に応じてライブエンターテイメントの演目をサポートします。d&bは数年前からこのイベントの一員ではありましたが、Soundscapeは昨年になって指定されました。しかし、コロナ禍により2021年のトーナメントは土壇場でキャンセルされたため、オーディエンスがその驚異的なサウンド能力を直に体験できたのは2022年になってからでした。
Valve社は、アリーナで体験するゲームサウンドは、観客が自宅でヘッドフォンを着用したり観戦したりするときのものに可能な限り近いサウンドでなくてはいけないと考えました。
「Soundscapeは、全体的により優れた体験を観客に提供しただけでなく、彼らが慣れ親しんでいるものよりもさらに均質な体験をもたらしました」とワゴナー氏はコメントします。「そうした観客は自宅でTwitchやYouTubeを、おそらくヘッドフォンを使って視聴することに慣れているので、そのような体験により類似したものを提供する必要がありましたが、同時にライブショーならではの興奮も届けることが望まれました」
ワゴナー氏はd&bのArrayCalcに組み込まれているd&b Soundscape シミュレーション・ツールを使用しました。この視覚化ツールでは、与えられた空間内でSoundscapeシステムが音響物理的に、そしてなにより音響心理的に(人間の音の聴き方に応じて)どう知覚されるかを精確にモデル化できるようになっています。d&bユーザーは、En-Sceneシミュレーション・ツールを使用することにより、Soundscapeが運用されている空間が観客にどのように体験されるかを評価できるため、音響技術者が制作の計画段階の早期にシステム設計を最適化するのに役立ちます。
「この機能を利用すると従来とは異なる方法でシステムを展開できるので、コンテンツを観客に届ける方法に大きな柔軟性を持たることができます」とワゴナー氏は言います。
また、ワゴナー氏の音響チームは、d&b V SeriesとArrayProcessingでSoundscapeを補完しました。この大会の音響制作における主要な課題の1つは、ステージ自体からできるだけ音声を遠ざけることです。Twitchで行われるショーは、アリーナで行われるショーと同じなので、その音がステージに回り込み、プレイヤーが内容を聞いてしまうと、彼らがゲームの他の箇所で起こっていることに気がついてしまう可能性があり、これがフェアなプレイ環境を壊してしまうのです。
それを未然に防ぎ、システムをアリーナ内でしっかりと機能させるためには、V Seriesの指向性制御とカーディオイド特性が不可欠だったとワゴナー氏は語ります。
さらに、チームはd&b ArrayCalcシミュレーション・ソフトウェア内のオプション機能であるArrayProcessingを使用しました。ArrayProcessingではアルゴリズムを用いて、12,000席スタジアム内のリスニングエリア全体にわたってLCR構成で配置されたd&bのラインアレイ・システムの動作をコントロールするために、最適化されたフィルターを演算します。
ワゴナー氏は、観客たち——彼らの多くは大会のために遠方から訪れている——は壮大なスケールと圧倒的な音質のショーを体験することができたと語ります。
「この制作では、他にはないイマーシブなサウンド体験で、熱狂的ファンの忠誠心に報いることを本当に重視しています。このライブ制作には毎年多大な努力とエネルギーが注がれ、通常のスポーツイベントを少し超えるかもしれないようなアリーナのセットアップを実現する試みがなされています」
Aural Fixation社の詳細については、https://www.auralfixation.me/をご覧ください。