『スターライト・エクスプレス』の推進力となったd&b Soundscape

© Pamela Raith

初演から40年目を迎えたアンドリュー・ロイド・ウェバー作『スターライト・エクスプレス』のロンドンでの公演は、d&b Soundscape史上最大規模とも言える運用となりました。サウンドデザイナーのギャレス・オーウェン氏が、DS100シグナルエンジン4台と、350台を超えるd&bラウドスピーカーを使用して 包み込むようなスリリングなサウンド体験を提供しています。

著名なサウンドデザイナー、ギャレス・オーウェン氏は、アンドリュー・ロイド・ウェバーの『スターライト・エクスプレス』ロンドン公演で、強力なd&b Soundscapeシステムを運用して、「規模の点でも意欲の点でも過去最大級のサウンドデザイン」と自認する成果を実現しました。2024年に40 周年を迎えたこの有名なミュージカルは現在、ロンドンのウェンブリー・パークにあるトルバドゥール劇場で公演中です。

サウンドデザイナー、ギャレス・オーウェン氏が、d&b Soundscapeのパワーを利用して、これまでになく意欲的なミュージカルシアターでのサウンド体験を実現

DS100プロセッサー4台で350台超のd&bラウドスピーカーを通してSoundscapeシステムを駆動する壮大な配備が行われたこのプロジェクトは、オーウェン氏にとって今までで最も複雑なサウンドデザインとなりました。システムを供給したのは、カーディフに拠点を置くレンタル会社Stage Sound Services社です。同社は、仕様を満たすために、追加の資金を投じてd&b製品を調達しました。

オーウェン氏がSoundscapeを初めて使用したのは2019年、刷新された『スターライト・エクスプレス』がドイツのボーフムで上演されて注目を集めたときでした。非常に素晴らしい聴覚体験を観客に提供し、類例のない創造の可能性をデザイナーに提供するこのエキサイティングな没入型サウンドテクノロジーを、オーウェン氏はそれ以降、愛用しています。 

© Pamela Raith

10を超えるミュージカルシアターでのサウンドデザインにd&b Soundscapeを採用(その過程で多数のノミネーションや受賞を経験)してきたオーウェン氏は、Soundscapeの開発に欠かせない存在となっています。重要なショーコントロールワークフロー機能をSoundscapeに提供するキュー自動化ソフトウェア、En-Snapは、Gareth Owen Soundとd&bとのコラボレーションの賜物です。現在バージョン3となったEn-Snapの最新の進化のひとつに、先進的トラッキングシステムの統合と対応があります。テンポの速いこのショーでは、ボーカル・リインフォースメントを正確に動かすことが独特の課題となっていましたが、今回この機能を最大限に活用して、正確な動きを可能にしています。 

パフォーマーのアクションと観客の視聴のゾーンが全方向に広がるこのアリーナスタイルの構成では、カバレージとコヒーレンスの面でかなり大きな課題がありました。しかし、Soundscapeシステムのパワーと分解能が、その問題に応えました。実際、Soundscapeの創造の可能性を制限する要素は、時間と予算という実利的問題だけのようでした。オーウェン氏は言います。「このショーの創造性に限界をもたらすものは何なのか、私には思いつきません。『スターライト・エクスプレス』のような予算とデザインの条件が付託されるショーでさえ、ある時点で共通感覚が作用し始めます。私は結果にとても満足しています」

オーウェン氏はさらにこう語ります。「座席配置とパフォーマンスのエリアが入り組んだ複雑な会場で、私たちは、可能なことをすべて実現できました」

この大規模なラウドスピーカーセットアップでは、Y-Seriesラインアレイが前面を横切るように配置されたほか、いくつかのV-Seriesポイントソースキャビネットと、多数の小型追加スピーカーが使用されました。また今回の公演は、オーウェン氏がd&bのXSL-SUBを初めて使用した例ともなりました。XSL-SUBは、d&bのSL-Seriesに含まれる、フライング可能な小/中フォーマットのカーディオイドサブウーファーです(オーウェン氏はこれを「きわめて大きな一歩前進」と称しています)。

このような複雑な仕事は、もちろん単独では成し得ません。オーウェン氏は、 Gareth Owen Soundに所属する自身のチームに特に言及しています。デザインチーム(マット・ペプロー、アンディ・グリーン、ロブ・ジョーンズ、レイモン・ヴァン・スティー、ジョー・グリーン)、そしてプロダクションエンジニアリングチーム(ドム・ベルとダン・マックのほか、ハンナとオリー・レイムス=クレマーソン(共同でサウンドno. 1)、オリー・ダドマン(サウンドno. 2)、アントワーヌ・リン=ベルマス(サウンドno. 3)、ステフ・シロー(サウンドno. 4)、 ベサニー・ヤオ(サウンドno. 5))といった面々です。

オーウェン氏は、d&bの「格別の」サポートを称賛し、アプリケーションサポートのスペシャリストであるスティーブ・ジョーンズの名前を特に挙げました。また、フィル・ハーレー氏とStage Sound Services社の貢献も強調しました。オーウェン氏はこう言います。「うまくいったのは、まさにハーレー氏のおかげです。ハーレー氏のサポートがなければ、実際の成果の半分もできなかったでしょう。それは間違いありません」

オーウェン氏は、総括してこう語っています。「実現したかったことをそのまま実現できたと思います。どんなショーでもそうですが、アンドリュー・ロイド・ウェバーのショーの場合は特に、台無しにしないということが非常に重要です。『もっといい音にできたんじゃないか?』などとは、誰からも言われたくないのです。幸いなことに、誰もそう言っていません。それはとても喜ばしいことです」

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