d&bが見上げるグラスゴー市庁舎の美しいフラスコ画天井

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グラスゴー市庁舎に一歩踏み込むと、そこは普段の単調な都市生活を忘れさせてくれる超越した空間があります。玄関ホールは人を錯覚に陥らせ、フロアタイルの装飾とアーチ形の天井が唯一その先何があるかをひそかに教えてくれています。左へ曲がるとたちまち、人はとても細かい石造の渦に吸い込まれていきます。精巧なイタリア石の階段はツタのように上へ伸びて、 M.C. Esherの有名な彫刻が映し出す様子は、行き場を失っていると同時に色々な場所へと行けるかのような感覚に陥ってしまいます。もし、一度もグラスゴーに行ったことがないのであれば、この場所にだけでも訪れる価値があると言っても過言では無いでしょう。 二階へ上れば自然とBanqueting Hall(宴会ホール)が目に入ってきます。美しいフラスコ画の天井が広がるこの場所は、確かに機能的で限りなく日常から離れたものを感じさせてくれます。「公的な催しにはその都度この場所を利用します。」市庁舎副部長のKeith Dalkin氏は言いました。「200~300人規模の正式な晩餐会で使うときもあれば、チャリティ団体の軽い立食式レセプションなどにも使います。そのようなイベント向けに一通りの設備が揃っています。時には、一日に3度もイベントが行なわれることがあります。」Dalkin氏は多忙な人物で、彼が入館を受け入れてくれたこの日は、今年3日しかないイベント空白日のうちの1日でした。「しかし、庁舎が建てられた当時からホール内の音響は問題となっていました。最近行ったサウンドシステムの改修は音響効果を改善する目的で行いました。端的にいうと、Banqueting Hallは視覚的には本当に美しいのですが、このように高い天井では極めて残響の多い空間となってしまうのです。着席形式のディナーの時でさえ残響がうるさい状態です。」パチンと一回指を鳴らしてみると、 Dalkin氏が主張するのもうなづけます。この場所はどんな形の増幅音にも適していません。しかし、Dalkin氏が言うように、「ここでは、集会全体に向かって演説するようなイベントを数多く開催します。いい演説者もこの場所ではお手上げなのです。適度な声量の者も、古いサウンドシステムは演説者のメッセージを鮮明に伝えるというよりむしろ音を曇らせてしまいがちでした。」 Dalkin氏は、長年グラスゴーとエディンバラを拠点に営業しているプロオーディオの専門企業Warehouse Sound Servicesに仕事を依頼しました。「Warehouse社は、この町とその近郊で行なわれる数多くの特別行事に、サウンドシステムを供給していることでよく知られている会社です。」「弊社の業務は設計、供給、施工代理業務でした。」Warehouse社のセールスエンジニア兼プロジェクトマネージャーGavin Jenkinson氏が話し始めました。「ここは英国建築リストで最高グレードに当たる重要建造物なので、ケーブル配線にはとりわけ神経を使いました。また、当然ながら、残響対策として設計されるシステムソリューションが何であれ、できるだけ目立たないようにしなければなりませんでした。」導入された主なシステムはd&b audiotechnik E9で構成されています。壁の小さな修復も許されないため、E9のカラーはポールの取り付けられた機材設置場所の壁の装飾に調和するようにWarehouse社で調整されました。「E9は理想的です。チルトダウン式ホーンを搭載したフル レンジ キャビネットなので、アーチ形屋根の天井部分から音響エネルギーを切り離すことが必須となるこのホールには最適です。」ミッド/ローエンドの伝播特性とホーンは90°の水平指向性となりますが、 Jenkinson氏が提案したように、50°の垂直指向で上部の辺が床と事実上平行になるよう下へ傾けています。「そのようなキャビネットを取扱うには、ホーンが常に頭の高さより上にあることが条件です。」 Banqueting Hallには、コンサートやリサイタル形式でのイベントで使う小さなステージがあります。そこにはC7-SUBとフロアモニター、 Shureの『プラグアンドプレイ』会議用マイクシステム、そして、BSS Jellyfishのプログラム可能なコントローラー2台の拡張用システムを供給しました。「その多様な機能とともに、Soundweb Preset6つとそのPresetsひとつずつに個別のイコライザーを割り当てました。」と、Gavin氏は話した後、「現在の時点ではそうなっています。」と笑いながら付け加えました。このホールがいかに多様な用途で頻繁に使われているかわかります。「実際、施工担当チームがホールを占用するのに、イベント行事日程に空きがくるまで数ヶ月待たなければなりませんでした。それでも占用できたのはたったの2日間だけでした。ケーブル配線は先ほども言いましたが、非常にやっかいなものでした。全てのケーブルは床下を通ってラウドスピーカーまで繋げたのです。拡張用システムでも同様でした。このような理由から、将来的に出てくるかもしれない混乱を最小限に抑えるために、現時点では必要ではありませんがSVGAとCat 5ケーブルを同時に取り付けておくという選択をしました。」 しかし、Warehouse社の責務はそれで終わりとはいきませんでした。「トレーニングは最も大切な部分です。」とDalkin氏は続けました。「そのため、『プラグ アンド プレイ』の表現通り差し込んですぐ使えるシステムで、極力簡単な操作のものを望んでいました。当初の課題は皆をこの場所に同時に集めることでしたが、今ではその課題は達成できました。Warehouse社の柔軟な対応には感謝しています。専属の電気関係スタッフが2名いますが、将来的にはトレーニングを積んだスタッフをもっと増やすつもりです。全体として、新しい設備が導入されて以来、このホールの利用者にとても喜ばれています。音質は優れているし、どの人も何を話しているのかわかるようになりました。」こうしたすばらしい環境での催しに参加できる機会があればとてもラッキーですが、そうでなくても、時間を作って建物を訪れてみてください。ここは、一般公開されていて建物のガイドはユーモアに溢れとても勉強になります。

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