トルコ国会がd&bシステムを導入。明瞭な議論をめざす
人間の耳と脳の仕組みは非常に洗練されたシステムであり、音がどこから来るのかということを驚くような正確さで把握することができます。「この情報を利用し、脳は音の強さにおけるほんの少しの違いも認識し、その方向を把握することができます。この本質を追究することがアンカラにあるトルコ国会議事堂における新サウンドシステムの設置にあたって求められました。」とAtempo社のTayfun Konuralp氏は説明します。トルコ有数の業務用音響システムプロバイダーである同社はd&b製品のディストリビューターでもあります。「明瞭度の基本的な向上という要求に加えて、たとえ激しい議論の中でも誰がどこで話しているのかを議員の誰もが把握できるようにしてほしいという要望がありました。」
「以前のシステムは現代的な水準には全くおよばないものでした。明瞭度は非常に乏しく、議員たちにとっては不快でうんざりするような音でした。」と以前トーンマイスターとして活躍した経験を持ち、現在は国会議事堂の音響部門で技術マネージャーを務めるYakup Bayraktar氏は話します。
「議会当局は、既に以前からWolfgang Ahnert氏に何か解決策はないかと打診していました。彼は音響コンサルティングおよび設計といった分野で伝説的な存在となっている人物でもあります。EASEソフトウェアの発明者として、彼の提案に従えば我々の技能は新しいレベルに達すると見込みました。そしてそこに間違いはありませんでした。」とKonuralp 氏は加えます。
公開競争入札の場で、Atempo社は様々なd&bシステム機器を組み合わせたシステムを紹介しました。「議事堂は500席が設置された扇型のホールであり、中央の演壇から議長が議会を取り仕切ります。基本的にここでは2つのシステムが使用されることになります。1つめは左右にTi10Lを設置して前面のシステムを形成し、演壇からの音響がホール全域に向けられるようにするものと、2つめのシステムは、個々に独立して増幅される10Sラウドスピーカーが天井から下向きに、そして360°の伝播を可能とするため十字型に設置されるものです。このシステムのキーポイントは、Salzbrenner Stagetec Nexusのマトリックスシステムマネジメントにあります。これは時間設定のプログラミングによって、話している議員が発する音声の場所を会議場内の他の議員に対して相対的に特定する仕組みになっています。もちろん、このように広域のカバレージ領域に対応するには非常に複雑かつ可変なタイミング構造が必要となります。つまり、正しいラウドスピーカーの選択とパフォーマンスの一貫性が、パターン定義という点で非常に重要になります。d&bの各種製品は、公開されているデータの内容に非常に正確に一致しています。このため、ここまでも高い精度が要求される場面で他社の製品を設置するなど考えもしませんでした。このシステムは資料に記載されている通りのパフォーマンスを実現できるという点が大きなメリットです。」
トルコの大統領選挙と同時期に設置したことに関してKonuralp氏は、「設置工事期間はたったの6週間と、半減されました。」と述べています。「Ti10Lラインアレイシステムは早速発注され、大統領の就任式までに間に合わせることができました。より複雑な位置決めとテストを必要とする10Sベースによるシステムの立ち上げはその後に実施されました。同時にYakup Bayraktar氏の指導のもとで議事堂専属の技術チーム向けに研修が行なわれました。彼らは拡声の原理を熟知した高い知識を有するチームであり、位置決めのコンセプトを簡単に理解しました。議会内にこのような音響システムを設置した例はトルコ国内では他にありません。私が知っている限りでは、ベルリンにある連邦議会議事堂と他に2、3箇所存在するに過ぎません。Bayraktar氏が今回指導したチームは、非常に速くこのプロセスをマスターし、その舵を握るようになりました。」
Yakup Bayraktar氏は、「旧型の音響システムに存在した問題の全てが解消されている。このプロジェクトで非常にプロフェッショナルな仕事を収めたAtempo社にもう一度おめでとうを言いたいです。」とまとめています。