ライブハウス日本初導入。d&b Soundscapeが福山Cableにもたらす極上のイマーシブサウンド。
広島県福山市のライブハウス、福山Cableがその音響システムにd&b Soundscapeを採用し、イマーシブサウンドシステムを日本で初めて導入したライブハウスとして注目を浴びています。
福山Cableのオーナー兼サウンドエンジニアの出原氏がイマーシブサウンドシステムに最初に触れたのは2017年のInter BEEでd&bのデモブースを訪れた時のことでした。d&b Soundscapeのローンチイベントとして行われたこのデモへの参加がライブイマーシブサウンドとの初めての出会いになりました。
その後、2018年、2019年、コロナ渦のブランクを経て再開された2022年とInter BEEを続けて訪問し、d&bの訴求するイマーシブサウンドの効果をその耳で確かめるうちに、この次世代のライブ音響技術を自身のライブハウスに生かすことはできないかと考えるに至りました。早速d&bに相談を持ち掛け、 2023年1月にはd&bの横浜オフィスにあるデモルームを訪問。そこで詳細な説明を受けることでより具体的な構想へと発展し、導入する決断をしました。
当初の予定では、全てのオーディエンスが正確な音像定位を享受できる没入空間の達成を目的にEn-Scene、En-Space、180度のスピーカー配置の採用を検討していましたが、理想の残響成分を自由に付加できるEn-Spaceがもたらしうるより深い没入感への可能性を求め、360度のスピーカー配置の採用も決定しました。
2023年7月17日に決定したリニューアルオープンを控え、同年6月初旬、ライブハウス内へのシステムの設置とチューニングが行われました。ArrayCalcソフトウェアによる事前のシミュレーションから、ステージの前方に、En-Scene180に使用する5本のY10Pポイントソーススピーカーが、観客スペースの両サイドと後ろの壁にはEn-Space 360用の計7台(2023年9月より8台へ)の8Sが取り付けられた後、実際に音を出しながら何度も入念なチューニング作業が行われました。
幾度もの調整の末得られた空間はバーチャルリハーサルの時点で非常に精度が高く、深い没入感の獲得に大きな期待を寄せるものでした。2022年12月の福山Cableで行ったライブイマーシブデモンストレーションでも没入感から来るライブ体験の向上は期待していましたが、今回のイマーシブシステムの完成後に期待は確信に変わりました。
その後、7月17日祝日に開催されるオープニングイベントに向けた準備が始まりました。「できるだけ多くの人にイマーシブサウンドを体験してほしい」との出原氏の強い思いから、3クール入れ替え制の入場無料イベントとして計画されました。
そして迎えた本番当日、出原氏からイマーシブサンドシステム導入に掛ける熱い想いを交えたイントロダクションに続き、この日のために特別に招いたバンド「イマーシバーズ」によるライブ、そして当初からサポート体制にあったT-SPEC橋本氏と出原氏の技術解説で構成され、ライブハウス初のイマーシブライブをぜひ体験しようと全国から集まった参加者で会場は埋め尽くされました。
イベントへの反響は大きく、終了後のSNS等には参加した人々から多くの感想が寄せられました。
“フロアのどこにいてもステージの各パートから直接音が鳴っているような当たり前のようで初めての感覚!”
“ライブハウスは音が大きすぎて苦手だったのですが、ここのサウンドならずっと聴いていたい”
“これが今後のスタンダードになると音楽の革命起きそう。”
イベントを終えた出原氏は、
「リスナーの方には先入観なくご参加・体験頂いた結果、技術的なことは抜きにしてこの様な反応を頂けたのは本当に嬉しく思います。音像が現実(視覚)と一致する事や壁からの反射が少なくなるなどの副産物の複合で、よりライブに集中できる=イマーシブ(没入)体験をもたらすと分かってもらえたのが一番です。」と満足げに語りました。
「一方で音楽関係者には、このような技術が実際の現場においてどれほど効果的かを感じてもらえたと思います。これをきっかけに、これからの公演はライブイマーシブでやろう、という流れになってくれればと思います。」と今後に向けた展望を語りました。