Rocking at the Rockhal
ベルギー、フランス、ドイツの間にあるルクセンブルグはそのユニークな所在地である特権を生かして20世紀後半にその素晴らしい成功によってその名を轟かせたRadio Luxembourgが良い例だと思いますが、この小さな国は音楽や様々なパフォーマンスを開拓、発信する新手段を確立したことにも表れている通り歴史的に既成概念にとらわれない考え方を持っています。そんな国のEsch-sur-Alzetteに建てられた公共のRockhalは賑やかなコンサート会場(現在月間最低でも平均15アーティストがツアーで使用しています。)としてだけではなく自国の音楽シーンから明日のスターを発掘すべくその開拓とプロモーションの場ともなっています。
Centre de Musicques Amplifiées(Rockhalの公共会社)のゼネラルマネージャーであるOliver Toth氏が掲げる目標は明確でルクセンブルグの音楽シーンの開拓を維持、支持することです。「オープンより2年が経過しますがここの小さいクラブ会場のチケットを公演一週間前に完売する新しいアーティストも出てきていますが、メインの大きな会場に移行するには更なる音響や照明費用が掛るのでスムースに移行することができません。その解決策としてメイン会場の半分で使用できるような構成を提供できるようにしました。」この多目的用途のメイン会場はスタンディングで6500人収容できる大きさであるためにToth氏は新たなPAシステムの導入を決めました。
このシステム選定は会場のテクニカルスーパーバイザーであるRoland Roeltgen氏が各種リサーチを行って決めました。「我々はいくつかのブランドのデモを行いましたが2006年に我々のレコーディングスタジオの設備をやってもらったAmptec社の劇場とPAセールスマネージャーであるFrank Geerts氏が新しいd&bのJ-Seriesを提案してくれました。彼らがブリュッセルのAncienne Belgiqueコンサートホールで納入したシステムの機能性と音質についての評判はよく知っていました。」
そのGeerts氏が説明してくれます。「Rockhalは我々にとって全てを請け負うプロジェクトでした。最初のデモ及びデザインより同僚のDavid Liebens氏とBart Willems氏をはじめスタッフ全員が一丸となってサポートしてくれました。特に専用に作った50チャンネルのマルチケーブルとステージボックスの結線を始め全てのオーディオインフラを短期間で全て成し遂げなければなりませんでしたが彼らは素晴らしい仕事をしてくれました。」
Amtec社が選択したメインシステムはカーディオイドサブウーファーアレイを含むJ-Series、ステージモニターにはM2、サイドフィルとドラムフィルにQ-Seriesというシステムで全てがD12アンプで駆動されています。 Roeltgen氏はシステムとAmptec社のエンジニア及び限られた短時間枠の中で全てを遂行してくれた彼らに対する賛辞は惜しみません。「導入後最初に使用したのはMachine Headというハードコアメタルバンドでした。これはシステムの限界を知るための良い耐久テストとなりました。結果は完璧でした。」
こうして現在のRockhalは大型のツアーの会場でありながら、その素質を見せられる場が無い来るべき日のスター達に質の高い場を提供できるようになりました。「J-Seriesを固定設備として導入したことで我々の柔軟性が向上しました。」とRoeltgen氏が付け加えます。「このシステムは市場に広く受け入れられ多くのエンジニアたちが使用方法を良く知っているため持ち込み機材は時々希望されるエンジニアがハウスコンソールだけ持ち込むこともあります。セットアップから調整完了までは3時間もかかりません。」ルクセンブルグはこれらによってベストな物を提供するというこは国の大小に関わらないということを再度証明したのではないでしょうか?
本記事はPro Sound News Europe 2009年12月号 © UBMi Ltdに掲載された記事を許可を得て引用しています。