Pacha: d&bを通じて変わったサウンドを創造
「house」が陶酔するようなダンスとサウンドの代名詞となった時代のおよそ20年前、つまり1973年、Pacha Ibizaはオープンし、音楽魂を没頭させる新しい道が開かれた。それからおよそ40年の年月を経て、まだまだ先駆者としてのブランドを維持し、全世界で展開されているこのフランチャイズクラブは、つねに探求を続ける姿勢を暗示している。存在するということ、そして聴くということのあり方を常に新しく改革している、それがPachaだ。2012年にもそのような改革が行なわれたばかりである。
「我々はサウンドシステムの完全なリニューアルしようとした。我々が求めたもの、それはイビザで最も均等かつエキサイティングなサウンド、そしてダンスフロアを創り出すことだった」とPacha Groupでテクニカルディレクターを務めるToni Prats氏は説明する。Pratsは、スペインの北東地域でd&b audiotechnikのパートナーとして活躍するImaginamusica社を起用した。「我々はImaginamusica社とともに調査を行ない、我々の目標を達成するためにはより高いSPLが本当に必要となるのか検討した。しかし、その必要はなかったのだ。Imaginamusica社は、我々が必要としているのはむしろ、より繊細ではっきりとしたサウンドシステムであること、そしてそれがd&b V-Seriesシステムであるということを証明した。我々はさらに、低/中域周波数の影響を失うことなくローエンドを特別に定義したいという要望を明確にした。これがまさに、踊りたいという気持ちを人々の間に呼び起こす要因になるからだ。そして、3つめのポイントはスペースにあった。我々はスペースを最低限に抑えるための新システムを要求した。お客様に、トラックの中にギュウギュウ詰めになった家畜牛のような気分を味わわせたくない、それがPacha clubだ。Imaginamusica社の説明から、d&b V-Seriesが我々の要求を100パーセント満たしているということがわかった」とToni Prats氏は述べている。
Imaginamusica社でプロジェクトマネージャーを務めるEnric Esteve氏は、d&b スペインでアプリケーションサポートを担当するJuanma de Casasに電話し、システム設計業務を助けるよう依頼した。そしてこのJuanma de Casasがさらにd&b ドイツでアプリケーションサポートを担当するJonas(Jones)Wagnerをこのプロジェクトに参加させたのだ。「音響環境は複雑だが、クラブのお客様の観点から見ると非常に面白い」とde Casasは説明する。「メインダンスエリアの向こうには、他のパブリックレベルとスペースへの配慮を必要とするVIP専用エリアが多く用意されている。基本的にはオープンな設計にはなっているが、それぞれのエリアは異なるレベル上に存在し、およそ60センチの段差でこれらが区切られている。そして、ダンスフロアを見下ろせるバルコニーも準備されている。つまり、これらのエリアを別々にコントロールできるようにすることが重要となった。」
Wagner はde Casasを助け、最終設計業務の全てをサポートした。「V-Series ラウドスピーカーをもとに、我々はV-TOPのアレイをメインダンスフロアの全4面に、さらに4つのカーディオイドV-SUBのスタック2個を全指向性のB2-SUBのフロアアレイと組み合わせ、低周波が全てのエリアに行きわたるようにした。そして、さらに3個のVステレオアレイとV-SUBをメインVIPエリアにフライングさせたのだ。小さめのエリアおよびDJブースにはQ7とQ10のフィルが確保されるとともに、d&b White rangeの27A-SUBによってより離れたエリアでもローエンドの存在感を強化させることができるようになった。27Aは小さいながらもカーディオイド仕様とすることができた。」d&b R1リモートコントロールソフトを使ってシステム全体をネットワーク制御することができ、全てd&b D12アンプによって駆動することができる。「このシステムが設置されてから、Tiesto、Luciano、David Guettaなど多くのDJたちから、このシステムがブース内やクラブで提供するサウンド品質を絶賛する声が多く寄せられている」とPrats氏は述べている。
Toni Prats氏は、さらにこの変化の意味を重要視し、「全体的に可干渉性をもち、一貫的なサウンドパフォーマンスを提供する多目的システムのオプション、そしてシステムレイアウトが様々なDJブースと一般エリアの位置に対応できるという点が、我々の求めていた均等性という要因を満たしている。これによって、どこでも同質の優れたサウンドが聴けるのだ。さらに、フットプリントの大幅な低下と可視的なインパクトの組み合わせがメリットともなっている。Imaginamusica社は、彼らが提供する中でベストなサウンドシステムを紹介しただけでなく、最良のテクニカルサポートとサウンド品質に関する説明責任という点でも我々を納得させた。彼らはサウンドシステムを売るのではなく、特殊なサウンドを売っているのだ。これは我々にとって非常に大切なこと。」
掲載写真の全てはPacha氏から提供されたものです。この場をお借りしてお礼申し上げます。