d&bが料理を演出。スペイン「Hotel Maher。
パンプローナをおよそ1時間南下したスペイン・エブロ川のほとりの街、シントルエニゴにあるHotel Maherは、思いもよらないような食材から贅沢で美味しい素敵な料理を創り出す、スペイン有数のレストランとして知られています。MaherでのPAシステムの設計と設置を手掛けるGradual Eventのヘスス・ラヴィラ氏は、オーナーからの打診に少し驚いたものの、その後は”食材”の演出で頭が一杯になりました。「食材を単なる”背景音楽”システムとしてはならない。オーナーたちは『システムの品質、定義は料理に平行しなければならない』という要望を一途に提示してきた」とラヴィラ氏は振り返ります。 Gradual Eventはこのようなニーズに応えるためのスキルと経験を豊富に持った会社です。バスク地方で活躍する同社は、音響・照明スペシャリストとして各種機材の設置およびレンタルを行なっています。「難易度の高い音響環境で各種イベントを手掛けたことで我が社は多くの貴重な経験を積んできた。これらの経験は、我が社のインスタレーション設計にダイレクトに活用されている」とラヴィラ氏は述べています。さらに、「このように豪華なロケーションでは、最高の仕事をしなければならない。これは私にとって、”血統書付”のシステム、つまりd&b audiotechnikのシステム機器を使用することを意味する」とも続けています。
長年のd&bパートナーであり、機材パラメータにも詳しいラヴィラ氏は、すぐにレストラン内の調査にあたり、d&b E15X-SUB、d&b White rangeの12Sラウドスピーカーで構成されるシステム設計を行ないました。ラヴィラ氏は、「d&b xSの12Sは、非常に便利なツール。Maherのような美しい環境でもキャビネットの色をすぐに指定できる。このようなトップクラスの品質を持つインスタレーションでは普通のことかもしれないが、パフォーマンスという点で他社メーカーを比較にならないほど上回っている」とも述べています。12Sは、バイアキシャル設計の2ウェイラウドスピーカーであり、回転可能なHFホーンによって75°x 50°の指向特性を制御します。さらにラヴィラ氏は、「これが柔軟な取付高への対応を可能とすることから、設置場所における美学的観点を考慮しながらも完璧なカバレッジを実現することができる。12インチバスレフレックスエンクロージャーでは48 Hzまでの周波数特性を可能としている。私はここにE15X-SUBを追加することで温もりとプレゼンスを加えた。オーナーの希望通り、パフォーマンスと料理を平行させたわけだ。私にとって、料理とは目にも舌にも良いものでなければならない。同じように音響は耳に良く、感性に良いものでなければならない。完全な満足感を得るためには、これら全てが完璧に揃わなければならない」と締めくくっています。
Maherはなかなか目が離せないレストランです。イヴァン・マルティネス・クベルスやぺぺ・バレナなど有名なレストラン批評家も絶賛する中、ホセ・カルロス・カペルからは、「El refinamiento y la tènica culinaria de Enrique Martinez se refleja en la percepciòn con la que resuelve cada uno de sus platos」との評を得ています。これを理解するためには、スペイン語は不要です。ヘッドチーフを務めるエンリケ・マルティネスは、プロ音響業界からも同じような称賛を得られることを期待しています。