d&b シンガポールのNational Day Paradeを増幅する
シンガポールでは毎年8月に世界的に有名な都市となったことを記念して国民の祝祭が行われています。シンガポールが生んだ驚くべき現象は620平方キロメートルの面積と人口が450万人という非常に小さな町でありながら今日では世界的な経済大国となったことで、これは祝うに値することだと思います。 祝祭はシンガポール全体を包むようにカラフルなダンスと音楽、大空に映し出される多彩な映像そして大量な花火で彩られます。しかしメインとなるのは地上で行われるNational Day Parade(以下NDP)です。これは120メートル幅の3層の巨大なステージです。そして客席も同様に巨大で、幅200メートルもあり奥行きは90メートル以上にもなります。 これをご覧になっている皆さんのようなオーディオに興味がある方はすぐにこのようなスペースのカバーがどれだけ難しいか想像に難くないと思います。 NDPの主催者はこのような難しい状況をScott Willsallen氏をオーディオコンサルタントとして託しました。「私はオーディオシステムをデザインし、入札を行った所数社から入札がありました。」同氏は2004年のアテネオリンピックや2006年にドーハで行われたアジア大会など大観衆を集めるスペクタクルなイベントのオーディオデザインの経験が豊富です。「2008年のNDPはShowtec社が落札し、追加の機材と人材をNorwest Production社より供給を受けて行いました。」 Willsallen氏のデザイン方法は非常に直接的で効果的なものでした。「私はd&b audiotechnikのJ-Seriesラインアレイの使用を推奨しました。このシステムは以前使用したことがあり非常に良い結果を残しています。そして地元の音響会社で機材と人材を提供してくれたShowtec社が最近同システムを導入したことも知っていました。」彼の手法は論理的に客席をカバーするために一般的なメインL/Rシステムに24台のJ8と16台のJ-SUBをフライングするシステムにグランドスタックのSUBを追加したものです。そしてそれらの間の広いエリアには大量のフロントフィルシステムが必要でした。同氏は最良なカバレージとなるように4か所に6台のJ8をグランドスタックとして等間隔に設置しました。「これらのバランスを取ることは非常に難しいものです。バランスといっても相対的な振幅、時間、位置そしてアレイEQなどの要素があります。この複雑で繊細なバランスを最適な設定にするために時間を掛けて繊細な作業を行いました。」 Showtec社を代表するエンジニアの一人Chandra Mohan氏がWillsallen氏の設計した効率的なシステムをオペレートしました。「完璧だったと良いと思います。正直そんなに遠くまで届かないのでは?と思っていましたが、d&bからの音はまさに全帯域が目の前で鳴っているかのような感じでした。」システムはDolby Lakeプロセッサーの後をR70 Ethernet>CANインターフェイス経由でR1リモートコントロールソフトウェア制御と監視をしました。「実際にはEQは使用していません。」とChandra氏。「LakeはEQではなくライン分配用として使用しました。このような現場ではラインレベルミキサーとして非常に使い勝手が良いのです。」 Willsalen氏は長い時間を要したシステムチューニングの結果に非常に満足しています。「システムは私の期待を裏切らずに予想通りの性能を出してくれました。センター部分をカバーするために設置したグランドスタックは、100メートル以上をカバーしなくていけませんでしたが、d&bシステムは最前列から最後部までどのような音量でも忠実な再現性を維持していました。そしていつものことですがShowtec社とNorwest Production社のチームも良い仕事をしてくれました。」