ヒルソングの勢いはd&bと共にO2アリーナへ
現代キリスト教賛美歌の担い手であるヒルソングは巧みな盛り上げ方をします。4年前にスタートしたこちらのイベント、もはやエクセルセンターでは収まりきらなくなり、開催場所はO2アリーナとなりました。O2アリーナといえば、出演を拒否するアーティストなどいない程の会場です。ヒルソングカンファレンスヨーロッパは3日間に渡って開催される家族連れを対象としたイベント。そのプログラムは多岐に渡り、協議会、基本方針演説、賛美歌の生演奏、さらにはダンスや演劇を織り込んだドラマティクな演目など様々です。それだけ大規模なイベントであるからこそ、ヒルソングの音声チーム、そしてチームを率いるオーディオエンジニアであるクリス・ジョンソン氏に課せられた責任は大きなものとなっています。
「ヒルソング教会には高いレベルのプロデュース能力があるんです。多くのd&b社製機材を所有しているのに加え、Wigwam社からも長きに渡ってサポートを頂いています。」ジョンソン氏は今回のO2アリーナでのイベント用にd&b audiotechnikのJ-SeriesラウドスピーカーシステムをWigwam社から調達しましたが、上記の通り、実際にイベントの大部分を取り仕切るのはヒルソングの技術者たちです。「トットナムコートロードで開催される日曜礼拝には100人ものボランティアが従事してくれており、それぞれが音声、照明、映像などの専門知識を持ち合わせています。あくまでボランティアですので毎週全員が集まるわけではなく、ローテーションにより毎回およそ30人程度が参加してくれています。しかしボランティアとはいえ、彼らは経験豊富ですよ。私達はロイヤル・アルバート・ホールやウェンブリー・アリーナ、ウェンブリー・カンファレンス・センター、さらにはハンマースミス・アポロにおいても毎年定期的にイベントを開催していますからね。私達が所有しているスピーカーシステムはd&b社製のQ、C、E-Seriesです。」
ジョンソン氏、並びにヒルソングの音声チームに機材運用を任せることについて、Wigwam社のミック・スプラット氏は不安さを全く感じさせない様子でした。「ある意味では、彼らは我が社の技術者たちと同等の経験を積んでいると言えます。スピーカーシステムを同日にスピーチと生演奏の両方に使用する、といった点では特にそう言えるでしょうね。フォーマットの切り替えは彼らにとってはお手の物ですし、クリスは経験豊富なサウンドエンジニアですよ。」Wigwam社は5人のクルーを派遣しましたが、彼らの役割についてスプラット氏はこう語ります。「まずはシステムが時間通りに、適切に配置されるようにすること。それと大規模なラジオマイクのセットアップがWigwam社の規格に沿って適切になされるように、専門技術者を1人派遣しました。」ジョンソン氏もこの点には同意を見せました。「私達のチームには必要な知識は備わっていると自負していますが、それはスケールによって変わってきます。日曜参拝では20チャンネルのラジオマイクを扱っているとしても、O2アリーナでは50チャンネルも必要ですから。だからこそWigwam社は専門技術者を派遣してくれたのです。それは私達にとって新たな事を学ぶ良い機会となりましたし、Wigwam社の方達も快く指導してくれました。」
同様に、ジョンソン氏のPAシステムのチョイスも理にかなったものです。「PAシステムを選択する際、Wigwam社は3種類を提示してくれたのですが、私は中でもd&b社のJ-Seriesがベストだと思いました。これまでに大規模なラインアレイシステムは何種類も使用してきましたが、私達の様々な要求に見事に応えてくれるのはJ-Seriesをおいて他にはありません。理由としてはまず、より短いアレイでオーディエンスをカバー可能で、映像撮影や観客の視界に対する障害を抑えられるという点。2つ目の理由としては、ラペルマイクを身につけた人が大勢いるため、アレイスピーカーの正確なパターンコントロール、そしてフロントフィルスピーカー(d&b社製Q7とQ10)の直接的なコントロールが必要とされる点です。つまり私の手元ではそれ相応の数のグループ処理が求められているわけです。例えば、バンドの生演奏のためのバンドEQがある一方、それとは別にバンドが演劇のためにバックで演奏する際に使用するEQが設置されています。さらには様々なスピーチに対応するためにもう1台。というのも、今回のイベントには多くの素晴らしい演説者やゲストプレゼンターが参加してくれているのですが、音声明瞭度を保つためにはそれぞれに合ったセッティングをしなければならない、ということですから。」
ジョンソン氏は今回のイベントに対する満足感を総括してこう語ってくれました。「私達の予算を考慮すると、J-Seriesは今回のプログラムを扱うのに最適なシステムでした。バンド演奏にも合いますし、同じくらいスピーチにも対応し、よりHi-Fiなコンテンツにも非常に上手く対処することが可能です。正確なパターンコントロールによりヘッドセットマイクやラペルマイクの扱いが容易になり、イベント進行をとてもスムーズに行うことが出来ました。このイベントはイギリスにおけるヒルソング最大の例年集会であり、だからこそコンテンツに集中するためにプロダクションは優秀かつ明快でなくてはならないのです。ベストなシステム、私達が積み重ねた経験、そしてWigwam社のサポートにより、このO2アリーナという場所で今回の複合イベントを決して妥協することなく成功させることが出来ました。」