MediaCorp が、コミュニケーション言語を新定義
シンガポールを代表する放送局「MediaCorp」が本拠地としている非常に平凡な劇場で、少し型破りなサウンドシステムが求められました。「シェアマン・リー氏(音響シニアマネージャー)の率いるMediaCorp社の音響チームは、自分たちが求める明確なビジョンを当初から提示してきました。同劇場の収容人数は800名。音響チームは、ここで採用されている従来の"トップダウン"式の拡散方法ではなく、ハウスPAのフロントからのカバレージをよりダイレクトにしたいという希望を示しました」とd&b audiotechnik S.E. Asiaのケニー・チュンは語ります。 一見、このような要望は現代の放送局ではよくあるように思えますが、さらに「この劇場では、歌謡コンテストからゴールデンアワーのバラエティショー、さらにシンガポールのアイドルたちが出演する大晦日フェスティバルや旧正月、ハリラヤを祝う祝賀番組にいたるまでありとあらゆるショー番組に対応できなければなりません。さらに、大半のショーでは英語、中国語、マレー語、タミル語という4つの言語を使用する」という重要な補足がなされました。 「2010年末、シェアマン・リー氏は、d&b audiotechnik S.E. Asia Pte Ltdを含む複数のメーカーとコンタクトを取り、彼らの計画について議論しました。これを受け、我が社ではQ-SUBをグランドスタックしたd&b audiotechnik T10ラウドスピーカーと、同じくQ-SUBをグランドスタックしたQ10という2種類のデモシステムを提供し、彼らは、複数のショーを通じてライブ視聴テストを実施しました。これらの視聴には、シェアマン・リー氏だけでなく、スタジオ音響主任を務めるピーター・タン氏も参加しました」とケニー・チュンは語ります。 ピーター・タン氏は、「d&b QシリーズとTシリーズをスタジオで何度か視聴した後、我々はケニー・チュン氏が提案したQシリーズシステムが我々のニーズに最もフィットしているという結論にいたりました。スタジオ内のPAシステムを”オーバーヘッド式”ではなく"フロントオン式"に設置すると、正確な位置調整と全ての周波数領域に通じた、優れたパターンコントロールへの要求が高くなります。さらに、通常のテレビスタジオよりもはるかに高いサウンドレベルが求められます。このシステムは音響面での妥協なく、これら全てを満たしてくれるということがわかり、私たちも非常に喜んでいます」と語ります。 またケニー・チュンは、「各イベントでデモPAを設置した経験から、我々はテレビ収録用の劇場アプリケーションだけでなく、音響エンジニアたちが重視するカバレージやSPLを考慮した設置型システムの設計に強くなりました」と語ります。今回設置されたシステムは、Qシリーズラウドスピーカーの施工用バージョン「Qi10」で構成されています。つまり、左右、センターアレイ、左右のサイドフィルにこのQi10が使用されています。スタジオのアウトフィルにはQi7を使用し、Qi-SUBを床上に設置しています。システム全体はd&b D12で駆動され、(ワイヤレスで)R70 Ethernet >CANインター フェイスを使用できるようになっています。 この間、同スタジオでは大掛かりな技術改造工事が実施され、スーン・チー・ブーン氏が監督エンジニアを務めるElectronics and Engineering (E&E) Pte Ltd社がPAの施工を手掛けました。d&b audiotechnik S.E. Asiaのケニー・チュンと彼のチームは、ラウドスピーカー構成と信号ルーティングの決定にあたり、2011年9月のチューニング作業および検収を完了させました。 シェアマン・リー氏は、「MediaCorp社は同劇場のサウンドシステムをd&bサウンドシステムへとリニューアルした。これによって、劇場やコンサートホールのような環境の中でも、テレビ放送用音響の魅力を失うことなく、あたかもスタジオ内にいるかのような音響体験を聴衆に提供できるようになる。これは、放送局の製作リソースチームとd&b audiotechnik S.E. Asia、E&Eの各チームの優れた協力業務なしには達成しえなかったこと」と明言しています。