MillwallのGlobal Day of Prayerとd&b
Millwallのフットボールグランドには、屋外で一日を過ごす1万2千人もの家族たちが集まりました。80年代に恐ろしい評判のあった Millwallにそんなに人が集まるのか?と思われるかも知れませんが、それから長い年月が経過しているのです。キリスト教の精霊降臨祭で世界的な礼拝(以下GDOP)の日であり、Millwallの祝祭と同時に世界各国の会場で行われたこの行事には、どのようにして人類の連帯感や信仰を強めるかをデモンストレーションするような内容でした。このような宗教的な祝祭、典型的なキリスト教徒の大型のイベントの指揮をとるということは挑戦無くしては行えないと言っても過言ではないでしょう。Millwall会場でのGDOPは、4時間半に渡って行われその内容も500人の成人と200人の子供達による聖歌合唱や30ピースの典型的なオーケストラに6ピースの電子楽器バンドを加えたバンドを後ろにミュージカルを歌うなどの演目が行われました。 Pure Solutions社のAndy Barr氏はGDOP専門で制作の指揮をとっています、そして音響、照明と映像はSFLグループが専任で魅力的なサービスを提供しています。「今回で2回目のGDOPとなります。」とSFLのマネージングディレクターのMark Payne氏。「昨年はWest Hamのグランドで行われましたが、今年は来場者のアクセスを良くするために場所が変わりました。当社では、照明、ビデオPPU、カメラと音声ミキシング、そのた音響システム全般を全てのステージで請け負っています。」 このような大型のイベントでパフォーマーの人数も劇的に変化する内容では音響面での運用は大変だったのでしょうか?「2つの事項に対して取り組む必要がありました。一つはご存じの通りパフォーマーの数の変化です。先ほどの内容に付け加えると他にも3人のソロボーカリストのバックに9人のバックコーラス、3人の礼拝者のリーダーにフルオーケストラ、加えて高いエネルギーを生む聖歌ドラマー、それが驚くべきことに30人のグループで演奏します。もう一つは観客です。カバレージと明瞭度が最重要であることは明確ですが、他にもオーディオ帯域全体に渡るレベルが均一で尚且つ心地良くなくてはいけません。そしてこれは決して静かなイベントではなく高揚感を演出するのも重要な要素です。非常に大変そうに思われるかもしれませんが、我々は悲観するというより非常にやりがいを感じました。」 注目すべきことは、Payne氏がステージでストリングスセクションに使用したDPAのマイクロフォンアレンジです。「これらによって、自然な響きを生み出し、あたかもストリングスの息吹を聴くかのような感じになりました。そしてこの場所は奥行きが100メートルもある場所でした。11メートル高のテントを2カ所に作り、そこにd&b audiotechnikのJ-Seriesを吊下げました。アレイの構成は、J8ラインアレイラウドスピーカーと最下部2本に広いアングルのJ12としました。ステージ真横のスタンドはどうしてもこのメインアレイではカバーができないエリアなので、そこをカバーするためによりコンパクトなd&b Q-Seriesを上向きにカーブさせたグランドスタックを設置しましたが、これが非常に良い結果となりました。グランドスタック周辺5メートルは立ち入り禁止にしたため、直近に座る観客に遮られることなく最上段席まで適切な音量を届けることが可能になりました。ステージ前部を横切るように3台のカーディオイドJサブウーファーを置きました。これによってステージ上のオーケストラに低域の回りこみが激減しました。そしてSUBの上にはフロントフィル用の Q10も設置しました。」 「メインシステムのJ-Seriesを10°外側に向けましたが、ピッチから74メートルの距離にあるスタンドまで完璧にカバーすることができ、 FOHの後方もカバーしていました。もちろんグランドの真ん中あたりが少し抜けることも予測していましたがそこはJ12が完全にカバーできていました。74メートルの地点には後方のサイドスタンド席をカバーするためにここもグランドスタックのQ-Seriesのディレイを設置しましたが、ここはCSA構成のSUBの上にスタックしました。」 Payne氏のFOHミックスは2台のヤマハM7CLが使用されました。(モニターはPM5Dとd&b MAXの組み合わせ)「このショーは96もの入力があるショーでしたので、AD/DAの通過数を極力減少するためにd&b D12とD6アンプへの送りはAES/EBUデジタル信号で送りました。AES/EBUの標準ラインでは距離の制限を上回ってしまうので、Neutrikのインピーダンス変換トランスを用いて750オームの映像同軸ケーブルに変換し各アンプ設置場所まで100メートル以上敷設し、アンプの直前で110オームのAES/EBUに変換して各アンプに入力しました。D12アンプは全てスピーカーの設置位置直近に設置し、全てをCAN-Busでリンクしました。ケーブルの敷設距離が非常に長いため新しいd&b R70インターフェイスを使ってEthernet経由でシステムをリモート制御しましたが、全て完璧に予測通りとなりました。FOHのd&bリモートコントールソフトウェアR1とワイアレスステーションによって、システムの全ての詳細までコンソールの前にいながらアクセスでき、またラップトップPCをもってスタジアム内のどこからでもEQ やディレイの設定が行えました。」