d&b Soundscapeが精確な音響、卓越したカバレージとコントロールでスウェーデンの伝統あるマルメ歌劇場をサポート。

収容数1510席のマルメ歌劇場は、世界大戦中の1944年に設立された、ヨーロッパ最大級のステージを擁する、美しく、著名なパフォーマンスセンターです。マルメは伝統的には歌劇場と呼ばれますが、そのプログラムは年々多種多様なものとなり、様々な音楽プログラム、ダンス、クラシック音楽を上演しています。新しい経営陣がマルメ歌劇場を引き継いだ時、彼らもまた、会場を新たな高みへと昇華させるためにd&b audiotechnikを採用しました。

真にユニークなパフォーマンスセンターになることを目指すマルメ歌劇場の新経営陣は、この歌劇場の新しいビジョンのもと、観客に没入感のあるサウンド体験を提供できる卓越した技術を取り入れたいと考えました。

マルメ歌劇場は、ARVA社のプロジェクト・マネージャー、ポール・スチャネク氏とそのチームを招き、システムの設計と導入に取り掛かりました。Arva Trading社はストックホルムとマルメにオフィスを構える、著名なプロオーディオ機器・システムサプライヤーです。スウェーデンのスタジオ、放送局、ライブパフォーマンス業界向けに、高度なオーディオシステムの設計、導入、サービスを提供しています。

この劇場には、全席に素晴らしい音を届けたい、という明確な目標がありました。「彼らはこの目標にととてもこだわっていましたね」とスチャネク氏は言います。「80%のカバレージでは不合格。後部であろうと、サイドであろうと、すべての座席で95%以上のカバレージが求められました。これが私たちの課題でした。ARVA Trading社プロジェクトマネージャー ポール・スチャネク氏

スチャネク氏は、徹底したカバレージという厳しい要件に加え、オーケストラピットやステージ自体までもしっかりカバーするという大きな課題にも直面しました。オーケストラピットとステージは半円形に設計されており、ピットはステージより数メートル下に位置します。また、舞台上の歌手とオーケストラが互いの音をできるだけ正確に聴き取れることも絶対条件です。

「私たちにとっての難題は、ステージの上にスピーカーが吊られていること、そして公演によっては演奏者やオーケストラの位置さえも変わってしまうことでした」とスチャネク氏。

スピーカーは、一直線ではなく、扇状に配置されているため、音のコントロールはより難しくなります。フロントフィルは大変重要なもので、カバレージを最適化し、ラウドスピーカーを物理的に動かすことなく設定を変えられるシステムが必要になりました。ポール・スチャネク氏

Arva社とマルメ歌劇場のチームにとって、A-Seriesラウドスピーカーを併用したd&b Soundscapeの優れた品質と指向性制御は、これらの課題の多くを解決するソリューションとなりました。年頭に、マルメ歌劇場のチームはビョークのCornucopiaツアーの公演で実際にd&b Soundscapeを体験し、これこそがこの会場の新しいビジョンにマッチするものだ、と確信しました。

Soundscapeは、空間の中の様々な場所から音が聞こえてくるようなフィーリングをリスナーに与え、臨場感や体験を高めるイマーシブなオーディオ体験を実現します。ライブミュージックやステージパフォーマンスでは、ステレオやL/C/Rラウドスピーカーをはるかに超える潜在能力があり、驚くほど立体的な音像、音の透明感、そしてコントロールを可能にします。

マルメ歌劇場では、チームはフロントフィルを5つに分割することで理想的なカバレージを実現しました。そこでは、従来のようにシステムでセンターチャンネルを使用しませんでした。

「SoundscapeとA-Seriesの組み合わせを体験する前は、サウンドや特定の楽器がミックスで消えてしまうのではないかと懸念していました。このシステムでは誰もが満足しています。歌や台詞の一語一語、楽器の音など、すべてがクリアに聴こえるので、サウンド体験が素晴らしいものになります」とスチャネック氏は語ります。「従来は生の音で演奏されるものでも、このサウンドシステムを使ってやりたいというリクエストが出てくるようになりました」

スチャネック氏はこれがスピーカーを交換するだけのプロジェクトには終わらなかったことを説明してくれました。これは、新経営陣が掲げる技術的なビジョンの実現に関わることだったのです。

新しいシステムがこの歌劇場にもたらした変化は、本当に驚くべきものでした。」マルメ歌劇場サウンド責任者 ベングト・フリーンホルト氏
© Werner Nystrand

「このシステムは、作品のあらゆる音楽的要素を高いレベルに引き上げ、観客に感動を与えてくれました」と続けます。音楽的アレンジメントがこれほどまでに意図された通りに聴こえてくるのは、これが初めてです」

チームはSoundscapeとEn-Scene、En-Spaceを活用し、すべてのラウドスピーカーを個別に制御・管理し、理想的なパフォーマンスを実現しています。システムはアンプにd&bのD80、30D、10D、プロセッサーに4台のDS10と2台のDS100、ラウドスピーカーにAL60、24C/E、24C、8S、E5、4S、Y-SUB、SL-SUB、そしてディレイにはQ10を使用しています。アップグレード前のメインPAであった旧Qシステムは、現在ステージ上の22シングルチャンネルFBとして使用されています。

「楽器や歌声の位置または演技している位置が精確に伝えられること、それがマルメ歌劇場でのSoundscapeの最大の特徴です」とスチャネク氏は言います。「ハウスエンジニアがどれだけ早く新しいシステムに慣れてくれるか、少し心配していたのですが、スムーズにすぐにこなしてくれました。素晴らしいサウンドが生まれたにもかかわらず、演奏のための微調整やリセットにかかる時間は短縮され、作業が簡単、迅速、効率的になりました」

この歌劇場はコロナ規制により、2020年4月に閉鎖を余儀なくされました。アップグレードと導入が終わった後、Zoomを使ってのシステム試運転が行われ、会場の50名の観客とネットを介して参加した観客を対象として9月上旬に開催されたグランドオープニングとプレミアは大成功を収めました。コロナ禍の間もコンテンツの配信は続行されていました。

「私たちが知る限り、現在のところ劇場では最大規模のSoundscapeの導入です」とスチャネク氏は言います。「どのコンポーネントを使っても音質は抜群で、サポートやサービスも素晴らしいです。これがd&bの強みではないでしょうか。」

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