グダニスクをめぐる騒動と柔軟な新シアター
20年以上にもおよぶ取り組みと3年間の建設期間を経て、昨年、グダニスク・シェークスピア・シアターがついにオープンしました。ここは非常にユニークな劇場です。約40年前に建てられたポーランド初の演劇場というだけでなく、ここではエリザベス朝の本格的体験を再現する最新のデザインとテクノロジーが駆使されているのです。
ベネチア美術学院で教授を務めるイタリア人建築家、Renatto Rizzi氏が設計を手がけたこの新劇場は17世紀に木造の劇場があった跡地に建設されました。この旧劇場は1600年代初頭からフェンシングのレッスンや猛獣の戦い、演劇等が行なわれた場所として知られています。ここでシェークスピアの演劇がこれらを含んでいるのは偶然ではありません。このシェークスピア・シアターはグダニスクとロンドンに文化的なつながりがあったことを後世に伝える場所です。
建物の重厚な外装には窓がなく、外観的には不動で重厚なイメージがありますが、内部の機能は非常に可動的です。非常に柔軟な講堂では、プロセニアム・アーチや当時の特徴的な円形式等、様々なステージ構成が実現できるようになっています。さらに、世界唯一の開閉式屋根を備え、伝統的な屋外劇場として使用することも可能となっています。
d&b 製品プロバイダーであり、現地でスペシャリストとして活躍するKonsbud Audio社がこのプロジェクトに加わり、このシアターの柔軟性を確保する技術ソリューションの提供にあたりました。「我が社のエンジニアたちは2つの側面に特に気をつけています。」と説明するのは、Konsbud社でデザインおよび技術の統合化を統括するPiotr Jankiewicz氏です。「最初は、多様なステージ後世に対応出来る可動システムの設計を行い、次にSRシステムに大きく手を加えることなく3階層に分かれているギャラリー席の観客が心地よく演者の声が聞き取れるようにするソリューションを見つけ出すことです。」
ここでは、低域エンド用としてV-SUBを使用するd&b T10をD80アンプによって駆動されるメインシステムで構成されます。「個々のラウドスピーカーのサイズが理想的であること、設置の簡単さ、そして高い機能性を備えていること、これらの理由からd&b audiotechnik製品を選択しました。T10にはさらに、特許を取得したマウントシステムが備わっており、2人の作業員だけでラウドスピーカーを取り付け、ラインアレイとしてリギングの設置をすることも可能です。T10ラウドスピーカーはラインソースでもポイントソースモードでも使用できるので、同じラウドスピーカーがラインアレイシステムとしても、オーディトリウム内の拡声という目的でポイントソースとしても使用することが可能です。また、システムを自由に再構成し、特殊な演劇やパフォーマンスのニーズに合わせて調整することや、必要に応じて完全に取り外すこともできます。」とJankiewicz氏は述べています。ギャラリー内の観客席用としては、4Sラウドスピーカーが3つの各フロアの上部の天井に目立たぬように設置されています。そして、周囲との色にマッチするように、これらのラウドスピーカーは、特別色に塗装されてホール内の建築内装に慎重に融合された特殊ハウジングの中に収められています。
Konsbud Audio社が行なった繊細なアプローチによって、この歴史的建築物は技術的に洗練された建物と変身し、この劇場と同じくらい順応力のある、高効率なサウンドシステムが誕生したのです。これによって、観客たちは17世紀の演劇体験を現代の技術で楽しめるようになるのです。