ニューヨークのアポロシアターとカーネギーホールで称賛を受けたArrayProcessing。
先日行なわれたJohn Mellencampのツアーは世界中で有名なカーネギーホール、そしてアポロシアターで終了しました。いずれの会場でも、d&bラインアレイの音色バランスを増強させる新ソフトウェア「ArrayProcessing」を実験する機会に恵まれました。「それぞれの歴史が全く異なるように、これら2つのホールの間には大きな違いがあります。カーネギーは生音の音響パフォーマンスを支援するためのコンサートホールとして立てられたものであり、非常に響きがありますが、長い残響の少ないホールです。この点では、パフォーマーにとって大きな利点となります。これに対してアポロは全く異なります。豪華なクッションのせいで音声の減衰特性は非常に高く、且つ天井はあまり高くなく、奥行きもあまりありません。」とAcme Professional Inc.社で音響コンサルタントを務めるTom Clark氏は話しています。
Eighth Day Sound (EDS) がMellencamp ツアーをサポートし、カーネギー向けにシステムを提供する中、Clarkはアポロ向けに常設用d&b V-Seriesシステムを設置しました。以来、ここで演奏したどのパフォーマーからも幅広く称賛されています。
Bill Sheppellは、2007年からMellencampのためにミキシング業務を務めています。「それまでカーネギーでは仕事したことがありませんでした。。ここでの仕事は重量制限のため、それまでのツアーとは少し異なるシステムをリギングするためにミッドステージとダウンステージに小型のトラスを使用し、ここに小さなY-Seriesを取り付けました。これはd&bの新型システムで、私はまだ使ったことはありませんでした。つまり、ArrayProcessingを初めて使用するという点に加えて、ボックスに関しても私にとっては初めての経験でした。
その効果は即座に、そして顕著に現れました。カーネギーの高いバルコニーでもカバレージを確保できるようにトラスの位置を設定し、システムを高くフライングしたため、ArrayProcessing は一貫したカバレージを提供するために追加した最下部のボックスもさほど見切れる感じはありませんでした。フロアの前から後ろに向かって聞いた結果、サウンドはとても均等でした。特に驚いたのは、Carlene Carterのオープニングセットでバルコニーの最も高い列に行ってみたときのことでした。これまで長い間この仕事に携わってますが、下にある他の特等席とこの最上列でこれほどまでに同じサウンドが聴けるという体験は初めてでした。彼女の歌声も、アコースティックギターの音も、さっきまでいた下のミキシングポジションと全く同じように聴こえました。これには本当に驚きました。」
しかし、残響のより少ないアポロではどうだったのでしょう?「アポロでも同じリスニング条件、つまり同じ結果を得ることができました。ミキシングポジションはバルコニーの下部だったにも関わらず、コンソール位置では非常に素晴らしいサウンドが得られました。このため、最初のショーが終わった後、私はアポロのサウンドエンジニアであるOllie Cotton氏にArrayProcessingを装備したこのシステムの感想を尋ねました。彼はとても喜んでいる様子で、以前の巨大なサウンドシステムからの変更に対して抱いていた不安はすっかりどこかへ行ってしまったようでした。
ArrayProcessingの素晴らしい特徴は、ジョンがアコースティックでとても静かなメロディーを弾きだしたときに顕著に現れました。私の古い友人であるFoHのエンジニアが私に助言したことがあります。『音楽が静かになったら、サウンドも本当に静かに操作して、観客が前にかがみこんで聴き入るくらいにしてみろ』と。私はまさにこれに従いました。それは細かなニュアンスも全て聴くことができるほどでした。これからArrayProcessingをどのショーでも使用できることを楽しみにしています。これについてはEDSとも話しを進めているところです。」
Tom ClarkとAcmeのパートナーであるPete Cosmosもこの新ソフトウェアのメリットを称賛しています。「Peteはアポロ向け我々が行なったシステムソリューションの設計に貢献した一人です。だからこれを充分評価できる立場にあります。」とClarkは述べ、「彼は全域での品質とレベルの向上に言及し、いい意味でサウンドが温かくなったと話した。特に空間内の高い場所でそれが顕著になったようです。全般的にはArrayProcessingの実行にかかるスピードに驚いた。アポロはこの実験の場として選ばれたという事実を非常に誇りにしていました。ゼネラルマネージャーを務めるJoe Levy氏以下、アポロの音響スタッフたちはd&bとAcmeとの共同業務を熱心に進め、リグの改善に取り組みました。Mellencampのサウンドは非常に好評を受けました。」と締めくくりました。