Qと太陽、ニュージランドのリッポンフェスティバルに映える。
ニュージーランドに生息する珍鳥の一つであるKakaposと南の島の国立公園内、ワナカ湖畔に設営されたステージで行われたリッポンフェスティバルには多くの共通点があります。Kakaposはオウム類に属しながらも、産期になるとオスがメスを誘い込み交尾を行うので、狭い場所をオスたちが占領します。その時オスたちは地面を掘って窪みを作り、その中でのど元に空気をためて約40 Hz程の低周波数で音を出します。驚くべきことにメスはその音を最大5キロも離れた場所から聴き取ることができるそうです。 ワナカ湖もまた地面の窪みにできた何とも表現しがたい程の美しい湖ですが、フェスティバルはまるでKakaposのように全てがニュージーランド産なのです。リッポンが他のフェスティバルと異なるのはニュージーランドの有能なバンドやミュージシャンのみで構成されている所です。フェスティバルのハウスサウンドエンジニアRich Green氏がオウムとの類似点以外の説明をしてくれます。「私は過去三回このフェスティバルで仕事をしています。ニュージーランドでは他にもこれより大きなフェスティバルが行われていますがリッポンはその中で最も成功している野外コンサートの一つです。毎回必ずショーの数か月前には約5000枚のチケットが売り切れとなり、運営する地元のフェスティバル運営委員会も非常に良く組織されています。以前は年に一回行われていましたが、ここ数年は二年に一回になりましたが、より特別なフェスティバルと捉えられるためにこの頻度の方が良いと思います。」 Green氏は、今回よりシステムをクライストチャーチのSoundpeople社が供給するd&b audiotechnikのQ-Seriesに切り替えることにしました。そして全てそのスイッチを入れただけで非常に気に入ったそうです。「システムを動作させただけですが、これ以上ないと言ってもいいくらいのパフォーマンスを得られました。運営委員会、観客、バンドも皆一様に喜んでくれました。同じようにサウンドエンジニアも皆親指を立てて良いということを表現してくれました。今までの経験の中で、このようにこちらから感想を聞いたわけでもないのに皆が音を良いと言ってくれたことはありません。」 「このようなショーで観客が約5000人では片側6台のQ1が最少必要台数と言っても間違いではないと思います。欲を言えばもう1~2台をアレイがフラットな形状である最上段に追加するともっと遠距離でのレベル減衰が少なくなると思いますが、実際稼働中にゲインリダクションが限界に達することは一回もありませんでしたのでこれだけでもシステムは必要充分であったと言えます。カバレージに関しては、芝生の半円形の客席エリアなので幅が非常に広く、Q1の1台分の水平指向角では客席の両サイドの端までをカバーすることは絶対的に不可能ですが、ショーの内容を考えた時に、そこまで厳密にSPLを供給する必要はないとの結論に到達しました。これは基本的に観客は、客席の真ん中で大きい音を聴きながら楽しむか、または芝生の後方に座ってワインでも飲みながらリラックスして楽しむようなスタイルだと考えたからです。ステージに近いエリアのインフィルとアウトフィルにはQ7ラウドスピーカーを使用しました。」 Green氏は5キロ先のメス達を引き付けるために重要な低域の伝搬を確実に、しかもこのような音楽イベントでは非常に難しいこの問題についてはどのようにしたのでしょうか?「全部で12台のQ-SUBを使用しましたが、非常に高い出力を生みました。さらに12台のJBLの18インチが2台入ったサブウーファーを用意し、超重低域が必要なバンドに対応しました。」と説明してくれます。「Q-SUBはレイヤーの最下部のステージレベルに設置し、JBLの数台はその下のグランドレベルに置き、残りのJBLはステージ前方に間隔を空けて並べました。この構成、2種類のサブウーファーを統合したことによって、凸凹の少ない、非常にスムースな供給ができましたが、欲を言えばJBLの代わりにB2あれば良いなと思います。」 「ショーが最も盛り上がったのは、Koraの時でした。彼らの音は素晴らしかったです。もし機会があれば彼らのショーをご覧になることをお勧めします。そして彼らがSoundpeople社をPA会社として好んでいるかが分かると思います。」